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いきなりですが、率直にお尋ねします。
あなたの会社は、実働を7.5時間で計算していますか?それとも8時間で計算していますか?
「8時間」と答えた方は、このページを見る必要はないかもしれません。
特定受給資格者(会社都合退職)についての情報が欲しいのであれば、多分このページで得る情報は少ないでしょう。
しかし、「7.5時間」と答えた方。あなたは、このページを最後まで見ることをオススメします。私のように「特定受給資格者になれない」可能性があるからです。
それは何故かをこれから説明いたします。
目次
そもそも特定受給資格者とは
特定受給資格者とは、自己都合で退職した場合であっても、会社側の問題で退職したことをハローワークに認められた場合、後から会社都合退職に変更できる制度です。
特定受給資格者の範囲
離職の直前6か月間のうちに[1]いずれか連続する3か月で45時間、[2]いずれか1か月で100時間、又は[3]いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
上記はハローワークが公開している特定受給資格者の範囲のうち、一部を抜粋したものです。
特定受給資格者には様々な条件がありますが、今回は残業に絞って取り扱います。
上記が残業過多を理由とした場合の、特定受給資格者の範囲です。
簡単に言うと、
離職の直前6か月間のうちに、「月45時間以上の残業を3か月連続して行った」もしくは「月100時間以上の残業を1か月の間に行った」もしくは「平均して月80時間以上の残業を2か月以上連続して行った」場合に、「自己都合を会社都合に変更できる」というものです。
ここで、「残業」ではなく、わざわざ「時間外労働」と書いてあることに注目して下さい。実は、「残業」と「時間外労働」には明確な違いがあり、その意図を読み取れなければ特定受給資格者の申請を拒否される可能性が高いからです。
残業と時間外労働の違い
私たちの普段呼んでいる「残業」と、国が定めている「時間外労働」には、明確な違いがあります。
以下のサイトが詳しいのでご覧ください。
・労働時間(残業時間)の定義を知っておこう | 残業代バンク
・時間外労働(残業時間)の明確な定義と割増賃金|労働問題弁護士ナビ
冒頭で「労働時間が7.5時間か8時間か」を伺ったのはこのためです。
実働が8時間計算の場合、あなたの呼んでいる”残業”と国が定めている”時間外労働”に違いはありません。
しかし、7.5時間計算の場合は、”残業”と”時間外労働”はイコールではなくなるのです。その結果、どのような弊害が起きるのでしょうか?
例えば、A社では勤務時間を9:00~17:30で定めています。休憩を1時間として、実働は7.5時間となります。A社では、定時である17:30以降に働いた時間を残業と呼ぶでしょう。A社に勤めている事務のB子さんは、決算期である3月のみ多忙を極め、月100時間の残業を行いました。
その翌々月、B子さんは、異業種への転職を目的に、A社を退職しました。インターネットで調べたところ、特定受給資格者の範囲(2-(5)-[2])に該当すると思われたため、勤怠記録や給与明細を持ってハローワークに相談に行きました。しかし、ハローワークの職員から告げられた言葉にB子さんは驚きました。
「あなたの先々月の時間外労働は、100時間に届いていないので、これでは特定受給資格者になることはできませんね。」
B子さんが100時間残業していると抗議すると、職員はこう言いました。
「特定受給資格者の基準になっているのは、残業ではなく時間外労働です。1日8時間を超えた分だけです。あなたの先々月の時間外労働は90時間ですから、1ヶ月100時間の基準は満たしていません。」
B子さんはそこで初めて残業(定時を超えた分の労働時間)と時間外労働(1日8時間を超えた分の労働時間)の違いを知りました。特定受給資格者にはなれず、B子さんは自己都合退職として転職活動を続けました――。
上記のストーリーは、私の経験を基に、内容を少し変えて作ったものです。
「残業と時間外労働をイコールだと思いこんでいた」「実働7.5時間計算だった」「時間外労働のみでは特定受給資格者の基準を満たさなかった」という条件が重なり、結局自己都合になってしまいました。己の無知を反省するとともに、これ以上同じ犠牲者を増やしたくないという思いから、この記事を書いています。
B子さんの例では、3月の営業日数を20日として、毎日5時間の残業が発生しています。残業としては100時間で正しいのですが、時間外労働に直した場合、17:30~18:00までの30分×20日=10時間がカウント対象外となるため、90時間となってしまいます。ちなみに、このカウント対象外となる10時間のことを法定内残業と呼び、時間外労働である90時間のことを法定外残業と呼びます。
特定受給資格者を検討している皆さんは、残業(所定労働時間の超過分)と時間外労働(法定労働時間の超過分)の違いを押さえた上で、計画的に失業給付を受けるようにして下さい。
会社都合になれば、給付制限がなくなる他、国民健康保険の減免申請もできるようになるなど、メリットを多く受けられます。
特定受給資格者でなくても受給できる、再就職手当については下記の記事でまとめております。
この記事で1人でも多くの方が救われれば嬉しいです。